住民票や登記簿謄本を見ると本名や通名を見かけることがあります。なぜ在日外国人は名前が二つあるのでしょうか。
通名の歴史
通名を使用しているのは中国人や韓国人が多いイメージがありますが実際は他の外国人でも使うことができます。
通名の歴史を考えるときに朝鮮半島の歴史は複雑に絡んでいます。昔、朝鮮半島を日本が併合していたときに朝鮮に住んでいる方は創氏改名によって日本式の名前を名乗っていました。改名した名前が法制度上の「本名」でした。
戦後、日本の影響力から脱した朝鮮半島は創氏改名によって変えた日本式の名前は法的な根拠を失うことになりました。しかし、一度日本式の名前で記録、登録されたものを全て無効にしてしまうのは難しく、実務上の運用を考え通名を併用することにしました。
通名と登記、各種証明書
通名は以下の特徴が挙げられます。
・通名で不動産登記ができる
・免許証や印鑑証明書、住民票に併記できる
・在留カードに通名は併記されない
通名で不動産登記をする一方で、本名の登記を別途することができます。土地の名義は通名、建物は本名としているケースもあります。
この場合に土地と建物を同時に売買や抵当権抹消をするときは前提として名義を統一せずに、通名と本名が併記されている住民票を添付して登記をすることができます。
また、昔は外国人を外国人登録法によって管理されていました。現在は法改正によって在留カードが発行され外国人であっても日本人と同様に住民票に記載されています。
不動産登記で通名の変更履歴を証する証明書として、外国人登録原票の写しが必要になることがあります。外国人登録原票は職務上請求することができず、本人が開示請求をしなければなりません。